2020/9/5

【論文出版】周辺構造モデル(marginal structural models)に関する総説論文

因果推論は、医学研究において重要な課題です。この課題にこたえるため、疫学では、因果推論に関する様々な理論や方法論が構築されてきました。

この度、周辺構造モデル(marginal structural models)に関する特別総説論文が、Journal of Epidemiologyに出版されました。

Shinozaki T, Suzuki E.
Understanding marginal structural models for time-varying exposures: pitfalls and tips.
J Epidemiol. 2020;30(9):377–389. (doi: 10.2188/jea.JE20200226)
本論文へのリンク

本論文は、Journal of Epidemiologyで2020年4月号から新たに始まった「Pitfalls and Tips for Statistical Methods in Epidemiology」という総説論文シリーズの論文です。

論文で紹介している仮想例のSASコードおよびStataコードも、付録として出版されています。

主な内容は、以下の通りです。

  • 周辺構造モデルと逆確率重み付けは区別すべきである
  • 周辺構造モデルは推定対象とする因果母数への仮定を表す一方で、曝露確率モデルは観察分布に対する制約を与える
  • 周辺構造モデルと曝露確率モデルは用いる目的が異なっており、それぞれのモデルの誤特定によるバイアスの生じ方も異なる
  • 現実のデータ解析でモデルを特定する際に直面する課題は、周辺構造モデルと曝露確率モデルでは異なる
  • g-公式は、因果効果の識別には逆確率重み付けと同じ条件を要するが、g-公式で周辺構造モデルが推定できるのは飽和した場合に限られる

なお、同シリーズでは、以下の論文も2020年4月に出版されています。

Suzuki E, Shinozaki T, Yamamoto E.
Causal diagrams: pitfalls and tips.
J Epidemiol. 2020;30(4):153–162. (doi:10.2188/jea.JE20190192)
本論文へのリンク

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