2013/8/17

反事実モデルに基づいたバイアスと効果修飾に関する疫学理論論文出版のお知らせ

医学における因果推論を扱う際に、バイアスや効果修飾の概念を理解することは必要不可欠です。1986年にInternational Journal of Epidemiologyに出版されたGreenlandとRobinsの論文によって、反事実モデル (counterfactual model) が疫学者に紹介されて以降、反事実モデルに基づくバイアスの定義が広まり、今ではスタンダードな説明として教科書でも取り上げられるようになっています。

この度、反事実モデルにおける反応タイプを用いることにより、バイアスと効果修飾の概念について更なる考察を行った疫学理論論文が、BMC Medical Research Methodologyに出版されました。

本論文では、観察研究および実験研究における理論的なデータ分布を反応タイプを用いて表すことにより、反事実モデルに基づく「目に見えない」概念を可視化することを試みました。その上で、交絡バイアスと選択バイアスを一元的に説明し、因果推論で重要な交換可能性 (exchangeability) の仮定に関する考察を深めています。更に、拡張DAG (directed acyclic graph) を用いることにより、これらの知見を視覚的に説明しています。

本論文で論じている内容が、今後、バイアスや効果修飾の概念を理解し、因果推論に関する洞察を深める上で役立つことを期待しています。

Suzuki E, Mitsuhashi T, Tsuda T, Yamamoto E.
A counterfactual approach to bias and effect modification in terms of response types.
BMC Med Res Methodol. 2013;13:101. (doi:10.1186/1471-2288-13-101)
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