2013/5/18

中間因子の扱いに関する因果理論の章を含む書籍出版のお知らせ

医学研究においてある特定の仮説を検証する際に、曝露(原因)とアウトカム(結果)の間に介在する中間因子の扱いに注意しないならば、バイアスによって誤った結論に至ることが往々にしてあります。例えば、母親の喫煙と新生児死亡の関連を評価する際に、中間因子となる出生時体重の扱いが問題になることがあります。この場合、低体重出生児において母親の喫煙と新生児死亡の関連を単純に評価すると、あたかも母親の喫煙が新生児死亡を抑制するかのような関連が見られることがあり、この現象はbirth weight paradoxとして知られています。

近年の疫学・統計学理論の発展により、妥当な因果推論を行うための中間因子の扱いに関して、principal strata effectsやnatural direct effectsという概念が注目されるようになりました。この度、これらの最新の理論的知見を総説した章「Causal Inference with Intermediates: Simple Methods for Principal Strata Effects and Natural Direct Effects」を含む書籍「Current Topics in Public Health」が出版されました。本書籍は、ハードコピー版としても出版されますが、オンライン版は無料で公開されており、全ての章のPDFファイルをダウンロードすることができます。

本章以外にも、公衆衛生の幅広い論点が扱われていますので、是非ご活用ください。

Yasutaka Chiba and Etsuji Suzuki (2013).
Causal Inference with Intermediates: Simple Methods for Principal Strata Effects and Natural Direct Effects, Current Topics in Public Health, Dr. Alfonso Rodriguez-Morales (Ed.), ISBN: 978-953-51-1121-4, InTech, DOI: 10.5772/53193.

Available from: http://www.intechopen.com/books/current-topics-in-public-health/causal-inference-with-intermediates-simple-methods-for-principal-strata-effects-and-natural-direct-e

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