吉備中央町において特定健康診査・後期高齢者健康診査・出生届を受けられた方およびそのご家族の方へ
―「既存データを用いた吉備中央町における有機フッ素化合物による健康影響調査」へご協力のお願い―
研究機関名 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
研究責任者 岡山大学学術研究院医歯薬学域 疫学・衛生学分野 教授 賴藤貴志
1) 研究の背景および目的
PFASという有機フッ素化合物は、世界中で広く使われています。さまざまな産業や製品に利用されていますが、一部のPFASは体内に蓄積され、健康に影響を及ぼす可能性があります。肝機能や脂質異常、がん、免疫や内分泌系の問題、妊娠時の合併症や早産といった問題が指摘されていますが、これについてはまだ多くの研究が必要です。日本でも、PFASの血液中の濃度や母体・母乳中の検査は行われていますが、その影響についての具体的な報告はあまりありません。今回の研究では、吉備中央町の円城浄水場でPFASが基準値を超えていたことを受け、その水を利用している地域住民の健康にどのような影響があるかを評価します。
そのために、吉備中央町の2013年度から2022年度の特定健康診査・後期高齢者健康診査を受診された方のデータ、および2013年4月から2023年9月に出生された方のデータを取得し、肝機能や脂質異常、早産・低出生体重児の割合を調査します。
2) 研究対象者
2013年度から2022年度に吉備中央町において特定健康診査・後期高齢者健康診査を受けられた方で、分析対象となる血液検査項目に関するデータに欠損のない方1800名と、2013年4月~2023年9月に吉備中央町において出生した方500名を研究対象とします。
3) 研究期間
研究機関の長の許可日~2029年5月末日
情報の利用開始予定日:倫理審査委員会承認後から1週間後
4) 研究方法
吉備中央町の住民の方を対象に、2013年度から2022年度の特定健康診査・後期高齢者健康診査結果と2013年4月から2023年9月の出生届のデータを使用して、円城浄水場からの水道の供給を受けていた地区に居住する住民(「円城地区」)とそれ以外の地区に居住する住民(「それ以外の地区」)での比較を行い、円城浄水場の水を摂取することにより健康影響が引き起こされているかを調べます。
5) 使用する情報
この研究に使用する情報として、吉備中央町特定健康診査と後期高齢者健康診査、出生届から以下の情報を抽出し使用させていただきます。データは、吉備中央町保健課にて、既に氏名などのあなたを直ちに特定できる情報は削除され、個人が特定できない状態で岡山大学に提供されています。また、あなたの情報が漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
特定健康診査・後期高齢者健康診査
宛名番号、住民区分、生年月日、性別、健診受診日、既往歴、自覚症状、身体計測(BMI)、血中脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、nonHDL、LDLコレステロール)、肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)
出生届
宛名番号、住所、生年月日、性別、出生時体重、妊娠週数、父母の生年月日、住民区分、住民になった異動日
6) 情報の保存
この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科賴藤研究室で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。また、本研究で得られた情報を将来の研究に用いる可能性はありません。
7) 研究資金と利益相反
この研究は、研究責任者が所属する教室の運営費交付金を用いて行います。また、この研究に関して利害関係が想定される企業などで研究責任者や分担者あるいはその家族が活動して収入を得ているようなことはありません。
8)研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。
この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方(ご家族の方等も拒否を申し出ることが出来る場合があります。詳細については下記の連絡先にお問い合わせください。)にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も皆様に不利益が生じることはありません。
岡山大学学術研究院医歯薬学域 疫学・衛生学分野
教授 賴藤 貴志
<研究組織>
既存情報の提供のみを行う機関 吉備中央町 保健課 課長 塚田 恵子
2024/7/2
2024年6月18~21日に、米国テキサス州オースティンで、57th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Researchが開催されました。
Dr. Rothmanが1974年のAJE論文で提唱したSynergy index Sの50周年を記念したシンポジウムで、以下のように発表を行いました。
The Birth of S: A Half-Century of Causal Synergism (Sponsored by Epidemiology)
Chair: Jay Kaufman
Presenters:
· Alfredo Morabia – The History of Interaction
· Tyler VanderWeele – Mapping Interaction Measures to Motivations
· Maya Mathur – Are Unknown Effect Modifiers Lurking Everywhere?
· Etsuji Suzuki – Discerning Causal Mechanisms of Synergy
· Jessie Buckley – Multipollutant Mixtures: To Synergy and Beyond
· Kenneth J Rothman – Discussant
また、以下のポスター発表を行いました。
Suzuki E, Yamamoto E. Errors and their visualization in the calculation of the population attributable fraction. 57th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Research. Austin, TX, June 18–21, 2024. Abstract book P. 603. (Poster presentation, Poster Session 2 on June 19, 2024, Poster Number: P222)
Nakayama K, Matsumoto N, Suzuki E, Kawachi I. Paternal involvement and development outcomes among low birthweight children in Japan. 57th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Research. Austin, TX, June 18–21, 2024. Abstract book P. 825. (Poster presentation, Poster Session 2 on June 19, 2024, Poster Number: P1043)