2021/6/29

【論文出版】岡山における新型コロナウィルスの流行と自損行為による救急出動の関連について

岡山における新型コロナウィルスの流行と自損行為による救急出動の関連について評価した原著論文がJournal of Epidemiology誌に掲載されました。
岡山における2018-2020年の救急出動記録を用いて、新型コロナウィルスの流行と自損行為の関連について評価したところ、2020年の救急出動数は過去2年間に比べて減少していましたが、自損行為に関連する救急出動数と割合は増加していました。また、この増加は25-49歳の方と女性の間で顕著でした。

Habu H, Takao S, Fujimoto R, Naito H, Nakao A, Yorifuji T. Emergency dispatches for suicide attempts during the COVID-19 outbreak in Okayama, Japan: A descriptive epidemiological study. J Epidemiol. 2021 Jun 26. doi: 10.2188/jea.JE20210066. Epub ahead of print. PMID: 34176855.

本論文へのリンク

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2021/6/24

【学会発表】Marginal sufficient component cause modelに関して(@54th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Research)

2021年6月22~25日に、54th Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Researchがオンラインで開催されています。
学会HPへのリンク


「Analytic methods for reducing bias in observational data」セッションにおいて、以下の口頭発表を行いました。


Suzuki E, Yamamoto E.
Marginal sufficient component cause model: an emerging causal model with authenticity?
プログラムへのリンク


Marginal sufficient component cause modelは、新たな因果モデルとして、以下の論文で、最近提唱されたものです。


Lin SH, Huang YT, Yang HI.
On identification of agonistic interaction: Hepatitis B and C interaction on hepatocellular carcinoma.
Statistics in Medicine 2019; 38: 2467-2476.

Lin JH, Lin KI, Lee WC, Lin SH.
Stochastic approach for mechanistic interaction under longitudinal studies with noninformative right censoring.
Statistics in Medicine 2020; 39: 114-128.

Huang YT, Tai AS, Chou MY, Lin GX, Lin SH.
Six-way decomposition of causal effects: Unifying mediation and mechanistic interaction.
Statistics in Medicine 2020; 39: 4051-4068.

Tai A-S, Huang Y-T, Lee W-C, Lin S-H.
Conceptualization of agonistic interaction in a marginal sufficient component cause model: an alternative interpretation for subadditive interaction.
Journal of the Chinese Statistical Association 2020; 58(3): 168-198.


本発表では、この新たな因果モデルについて考察し、結論として、従来のSufficient component cause modelが有用であることを論じています。


詳細については、以下の論文がEPIDEMIOLOGYに出版される予定です。


Suzuki E, Yamamoto E.
Marginal sufficient component cause model: an emerging causal model with merits?
Epidemiology. (In press)

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2021/6/19

【論文出版】データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付け

データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付けについて、岡山医学会雑誌に論文が出版されました。


頼藤貴志,鈴木越治.
データサイエンスにおける人工知能(AI)と疫学の位置付け―予測と因果推論の違い―.
[Artificial intelligence and epidemiology in data science: prediction and causal inference].
岡山医学会雑誌.2021;133(4):55–57. (doi: 10.4044/joma.133.55)
本論文へのリンク


2020年4月に、岡山大学グローバル最先端異分野融合研究機構にサイバーフィジカル情報応用研究コア(Cypher:cyber-physical engineering informatics research core)が設立されました。


本論文は、そのことを踏まえて岡山医学会雑誌で組まれている特集「人工知能(AI)を活用した医療の展開」の一つです。

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2021/6/6

藤本竜平院生が、第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会で若手研究者奨励賞を受賞しました

2021年6月にオンラインで開催された第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会において、藤本竜平院生らの演題が若手研究者奨励賞(YIA)に選ばれました。

藤本竜平,鈴木越治,中村一文,頼藤貴志,伊藤浩.
高齢者における夏季の時間別気温変動と虚血性心疾患による救急搬送との関連.
第116回・第118回日本循環器学会 中国・四国合同地方会,2021年6月5–6日.
Program book P. 30 (Y08)

暑熱曝露は心血管疾患発症のリスク因子とされており、虚血性心疾患発症にも影響するとされます。

本研究は、高齢者における高気温と虚血性心疾患発症との時間層別の関連を評価しました。岡山市における夏季(6-8月)に救急搬送された65歳以上の高齢虚血性心疾患を対象としたケースクロスオーバー研究による条件付きロジスティック回帰分析を行いました。

気温30度以上の場合に疾患発症のオッズ比上昇を認め、男性でその影響がより強かったです。さらに同気温における疾患発症前の時間間隔毎の解析では覚知48から71時間前にオッズ比 1.16 (95%信頼区間: 1.03, 1.30)と上昇を認めました。

地球温暖化により日本でも極端な猛暑日が増加しています。本研究を通して、高齢者が暑さに晒された2-3日後の虚血性心疾患遅延発症リスクの認識は、循環器救急体制、高齢者への暑さに対する予防啓発(真夏日における室内温度の適正化や不要な外出の制限など)に重要と考えられます。

気温などの環境因子は内因性疾患に多面的な影響を及ぼし、その関連性は一定ではありません。今後も変化し続ける環境因子が疾病に及ぼす影響について引き続き研究を進めていく必要があります。

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