2013/5/18

第86回日本産業衛生学会@愛媛のご報告

2013年5月14日から17日に、愛媛県松山市のひめぎんホールで開催された第86回日本産業衛生学会で、以下の4演題の発表を行いました。

小林朋子,高尾総司,岩瀬敏秀,浜田淳.
職場におけるソーシャル・キャピタルとメタボリックシンドロームとの関連について
産業衛生学雑誌.2013;55: Suppl. p. 473

三橋利晴.
企業におけるメタボリックシンドローム対策実施が労働者のBMIに及ぼす影響:傾向スコアを用いた解析
産業衛生学雑誌.2013;55: Suppl. p. 473

高尾総司,鈴木越治,土居弘幸.
職場におけるソーシャルキャピタルの属性別記述
産業衛生学雑誌.2013;55: Suppl. p. 502

鈴木越治,Tuula Oksanen,Jussi Vahtera,Mika Kivimäki,高尾総司.
職場のソーシャル・キャピタルと健康に関するレビュー
産業衛生学雑誌.2013;55: Suppl. p. 502

その他、「リスクマネジメントにもとづく健康管理シリーズ」と題して、自由集会を主催致しました。

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中間因子の扱いに関する因果理論の章を含む書籍出版のお知らせ

医学研究においてある特定の仮説を検証する際に、曝露(原因)とアウトカム(結果)の間に介在する中間因子の扱いに注意しないならば、バイアスによって誤った結論に至ることが往々にしてあります。例えば、母親の喫煙と新生児死亡の関連を評価する際に、中間因子となる出生時体重の扱いが問題になることがあります。この場合、低体重出生児において母親の喫煙と新生児死亡の関連を単純に評価すると、あたかも母親の喫煙が新生児死亡を抑制するかのような関連が見られることがあり、この現象はbirth weight paradoxとして知られています。

近年の疫学・統計学理論の発展により、妥当な因果推論を行うための中間因子の扱いに関して、principal strata effectsやnatural direct effectsという概念が注目されるようになりました。この度、これらの最新の理論的知見を総説した章「Causal Inference with Intermediates: Simple Methods for Principal Strata Effects and Natural Direct Effects」を含む書籍「Current Topics in Public Health」が出版されました。本書籍は、ハードコピー版としても出版されますが、オンライン版は無料で公開されており、全ての章のPDFファイルをダウンロードすることができます。

本章以外にも、公衆衛生の幅広い論点が扱われていますので、是非ご活用ください。

Yasutaka Chiba and Etsuji Suzuki (2013).
Causal Inference with Intermediates: Simple Methods for Principal Strata Effects and Natural Direct Effects, Current Topics in Public Health, Dr. Alfonso Rodriguez-Morales (Ed.), ISBN: 978-953-51-1121-4, InTech, DOI: 10.5772/53193.

Available from: http://www.intechopen.com/books/current-topics-in-public-health/causal-inference-with-intermediates-simple-methods-for-principal-strata-effects-and-natural-direct-e

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2013/5/12

本邦における自殺の社会的・地理的格差の変遷に関する論文出版のお知らせ

自殺は、本邦の公衆衛生における重要な課題の一つとなっています。これまでの国内外の研究で、景気の悪化と自殺者数の増加に関連があることが示唆されていますが、日本における自殺格差が、社会的または地理的にどのような変遷を辿っているのかに関しては明らかになっていませんでした。この度、本邦における自殺の社会的・地理的格差の変遷について検証した論文がPLoS Oneに出版されました。本研究は、ハーバード大学、広島大学の研究者らとの共同研究です。

本研究では、25歳から64歳の全人口を対象として、1975年から2005年の30年間にわたる自殺リスク格差の変遷を評価しました。結果として、男性において社会的格差のパターンが大きく変化している一方で、女性では、全体的に自殺リスクが低下傾向にあることが示されました。また、地理的格差については、特に男性において、1995年以降格差が大きく拡大していることが示唆されました。

本研究結果は、本邦における自殺の要因について、より明確な示唆を与えることが期待されます。

Suzuki E, Kashima S, Kawachi I, Subramanian SV.
Social and geographical inequalities in suicide in Japan from 1975 through 2005: a census-based longitudinal analysis.
PLoS One. 2013;8(5):e63443. (doi:10.1371/journal.pone.0063443)

本論文へのリンク

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