東京都において、ディーゼル車排出規制と死亡率に関する関連について検討した研究が出版されました。東京都は、平成15年10月にディーゼル車運行規制を開始し、平成18年4月に規制強化を行っています。今回は、東京都特別区保健所長会と協力し、ディーゼル車運行規制により(特に、平成18年4月の規制強化に注目し)、東京都23区の公衆衛生が向上したのか、つまり死亡率にどのような影響を与えたのかを検討しました。結果として、①東京都が行ったディーゼル車運行規制強化により大気汚染濃度が減少していた、②規制により特に脳血管死亡が8.5%も低下しており、23区の人口に換算するならば、3年間で約2800人の脳血管死亡を予防した、③大気汚染濃度と死亡率の関連は、規制強化後には弱くなっていた(規制後の大気汚染物質内の構成物質の変化・毒性低下の可能性を示唆)ということが示されました。但し、脳血管死亡以外の死亡率は、全国の死亡率の変動を調整することにより低下傾向が有意でなくなったことから、ディーゼル車運行規制による健康への好影響を確定するには更なる研究が必要であると思われます。
Yorifuji T, Kawachi I, Kaneda M, Takao S, Kashima S, Doi H.
Diesel Vehicle Emission and Death Rates in Tokyo, Japan: A Natural Experiment
Science of the Total Environment, in press
→ 本論文へのリンク(PubMed)
Yorifuji T, Kawachi I, Kaneda M, Takao S, Kashima S, Doi H.
Diesel Vehicle Emission and Death Rates in Tokyo, Japan: A Natural Experiment
Science of the Total Environment, in press
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