2009/6/27

42nd Annual SER Meeting現地レポート2

カリフォルニア州アナハイムで開催されている、SER(Society for Epidemiologic Research)の42nd Annual Meetingに参加しています。既にMeetingは、26日正午に閉会しました。今回は、Meeting全体を振り返っての現地レポートを、前回に引き続きお送りします。

24日午後は、Symposium 1 (“Assumptions, Assumptions, Assumptions”)に参加しました。このシンポジウムは、speakersがかなり豪華な面々でしたが、それに対して質問、コメントをする人たちもビッグネーム揃いでした。Greenlandの発表に対するPooleやVanderWeeleのやり取りが非常に印象に残っています。

25日午前には、Student Prize Winner Presentationとして、Jaimie Gradusが”The Association Between Posttraumatic Stress Disorder and Completed Suicide in the Adult Population of Denmark”と題して発表を行いました。特に、データの限界を踏まえて、きちんとBias Analysisを行っているあたりが評価されたのではないかと思います。指導教官として、ボストン大学のTimothy Lashが入っているので、納得という感じもします。今後、Bias Analysisの重要性がますます高まることを予感させる発表でした。

25日はそのほか、Spotlight Session 3 (”Nutritional Epidemiology in Non-Westernized Countries”)において、緑茶の健康影響に関する発表を行いました。幾つかのコメントや質問がなされ、緑茶の健康影響に関する関心の高さを伺うことができました。

加えて、25日のポスター発表では、睡眠時間と睡眠の質の健康影響に関する発表を行いました。こちらも、幾つかの国の研究者から、かなり具体的な研究実施方法に関して質問がなされ、交流を深めることができたように思います。

26日は、疫学でも重要性が指摘されている、ベイズ統計学に関するSymposia (“Practical Bayesian Methods for Epidemiology”)に参加しました。今後も、ますますベイズ統計学の重要性は高まるものと思われます。

SER Meetingは、全体を通して、empirical studyに関する発表のみならず、methodologyに関するシンポジウムや発表が、かなりの割合を占めているという特徴があります。その中でも、科学や医学における因果推論の論点は中心的な位置を占めていました。最後に、最も印象に残った言葉として、Opening Sessionの中で、SER presidentのMalcolm Maclureが、Bernard Lownの言葉を引用しつつ、最後のスライドで述べた言葉をお伝えします。”Only those who can see the invisible can do the impossible. Epidemiologists can see the invisible.”

以上、学会を終えて心地良い疲労感の中での現地レポートでした。

(ES)

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2009/6/25

42nd Annual SER Meeting現地レポート

SER (Society for Epidemiologic Research)の42nd Annual Meetingに参加しています。今回は、24日の昼休みを利用して、現地レポートをお伝えいたします。

今年のAnnual Meetingは、カリフォルニア州アナハイムの、Hyatt Regency Orange County Hotelで開催されています。アナハイムといえば、ディズニーランドの街、そして大リーグのエンジェルスの街です。学会会場も、ディズニーランドから車で5分ほどの場所にあり、疫学者にとって絶好の(?)ロケーションと言えるでしょう。学会自体は、6月23日から26日に開かれています。24日の午前にはOpening Sessionが開かれ、本格的な学会スタートとなりました。

今年のMeeting Themeは、”Epidemiologist as Vectors for Transmitting Health”で、それに準じて、Dr. PatzとDr. Maclureから午前の話がなされました。Patzは、Climate changeに関して話を行い、Maclureは、自分自身のキャリアを振り返っての興味深い話でした。Maclureは、自分自身をPopperianと称して、KuhnのパラダイムシフトやHumeの経験主義に関しても話がなされました。参加者にも、Humeを読むように勧めていました。(そのほか、SER presidentとして、環境保全のため、SER Meetingをインターネットで実施することも呼びかけていました。)

その後のSpotlight Session 1では、Dr. HernanがChairを務めた”Dealing in Absolutes: The Additive versus The Multiplicative Scale in Causal Inference”に出席しました。VanderWeeleやFlandersなどがspeakerとして話をしました。特に、VanderWeeleのMSMを用いたinteractionとeffect modificationの話は、counterfactual frameworkのもと、DAGを用いた興味深い話を聞くことができました。

午後も、George MaldonadoがChairを務めるSymposia 1(”Assumption, Assumption, Assumption”)や、Stephen ColeがChairを務めるSpotlight Session 2(“Measurement Bias”)など、興味深いプログラムが目白押しです。GreenlandやPooleなどのビッグネームがspeakerとして顔をそろえているので非常に楽しみです。

以上、西海岸の抜けるような青空のもと、現地レポートをお伝えしました。

(ES)

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2009/6/13

「臨床医のための疫学シリーズ」(第1回)掲載のお知らせ

日本救急医学会雑誌に、「臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究」と題して、全5回の連載を行っています。本シリーズは、地域中核病院の臨床医が中心となって臨床研究を行えることを目指し、特に疫学的視点から臨床研究のコア部分について紹介することを目的としています。第1回では、総論として、臨床研究の概要を四つのステップに分けて提示して各ステップにおける疫学的視点の重要性を示すとともに、統計学的知識として必要な内容についても紹介しています。第2回以降もご期待ください。

臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究 第1回
臨床研究における疫学と統計学(疫学総論)
Clinical Research Based on Community Hospitals Lesson 1:
The Role of Epidemiology and Statistics in Clinical Research
小松裕和、鈴木越治、土居弘幸.
日本救急医学会雑誌 2009;20:288-93
本論文へのリンク

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