2008/10/17
ISEE総会現地レポートも、いよいよ最終回となりました。今日もPasadenaは快晴、気持ちのよい青空が広がっています。しかし、現地の方の心は、ドジャース敗退を受けて曇り空のようですが・・・。
さて、今日はポスター発表の日となりました。出席者とのいい議論ができることを期待しつつ、ポスターを貼りたいと考えています。ちなみに、ISEEでのポスターは、日本の学会と異なり、横長で、かなり大きなつくりになっています。多くの方が、グラフィックの趣向を凝らしてポスターを作成されているようです。
最後に、今回の学会出席を通しての感想です。以前のAmerican Journal of Epidemiologyでも指摘されていましたが、かなり疫学の世界が細分化されているように感じました。各研究者が、自分だけの関心領域、研究領域のみに限定して議論が進むことに対して、少なからずの違和感も感じます。やはり、疫学理論をしっかり学ぶことにより、疫学全般の研究領域を、幅広くカバーしながら研究を行うことのできるGeneral Epidemiologistsが必要とされているのではないかとも感じました。
今回をもって、現地レポートは最終回となります。来年のISEEはアイルランド、再来年は韓国で開催されるようです。また機会があれば、参加してみたいと考えています。
(TY・ES)
2008/10/16
ISEE総会現地レポートも、好評のうちに(?)第3回を迎えることになりました。Pasadenaは、連日よい天気に恵まれ、まさに学会日和というところです。ただ、ドジャースがピンチに追い込まれているので、現地の方の精神状態はあまり思わしくないかもしれませんが・・・。
さて、昨日の午後に出席したNational Children’s Studyでは、研究全体のコンセプトから始まり、Communityとの事務レベルでの調整の話、曝露とアウトカムの測定に関する話など、非常に包括的な話を聞くことができました。まだ研究そのものは始まったばかりですので、結果に関する話は何もないのですが・・・。研究の規模が非常に大きいので、シンポジウム後の質疑応答では、研究のFeasibilityに関する質問やコメント(批判?)が相次ぎ、司会者も大変そうでした。(司会者の一人は、Environmental Epidemiologyの本の編集者である、Dean Bakerです。今回会うことを楽しみにしていた研究者の一人でした。)
そのほか、昨日の午後は、大気汚染の曝露評価に関するシンポジウムや、Extreme Weather Eventsに関するシンポジウムに出席し、 興味深い話を聞くことができました。さて、15日水曜日は、朝のMorning Training Sessionが、7時15分から始まり、すがすがしい空気の中、Multi-center & multi-national studiesに関する話を聞くことができました。このような大規模な研究はヨーロッパでよくみられるものですが、その背景や、実際に研究を進める上で考慮すべき問題点などを、SPALDIA study、ECRHS study、ESCAPE studyなどを例に出して説明していただき、Practicalな論点も扱われていました。演者の、”Bigger is better, or small is beautiful?”という言葉が非常に印象に残っています。
今日は、Climate changeに関するOral sessionが多く組まれているので、非常に興味深い話が聞けるのではないかと期待しています。特に、16時半からのOral sessionでは、HSPHのSchwartzが司会をされる予定なので、楽しみにしているところです。
今晩は、学会主催のConference dinnerが19時からある予定です。こちらでも、他の研究者との交流を楽しみにしたいと思います。
以上、第3回現地レポートでした。
P.S. 以下のURLがNational Children’s StudyのHPです。
http://www.nationalchildrensstudy.gov/Pages/default.aspx
(ES)
2008/10/15
先日、米国ボストン市にあるHarvard大学のSchool of Public Healthを訪れ、Ichiro Kawachi教授と打ち合わせをしてきました。なかなか日本では感じ取れない健康を含めた社会格差について実感することができました。
行程上時間があったので、現地の大衆向けスーパーを試しに訪れてみました。まず、サイズにびっくり。ハイカロリーな食べ物が、ビックサイズで安く提供されていました。後から話を聞くと、非富裕層は、交通手段がないので遠くのスーパーには行けず、経済的にも食品の選択肢は限られてしまうとのこと。知識を広めるだけでは行動に結びつかない現実があり、だからといって、非富裕層の生活を抜本的に変えるほどの介入はできない。社会の抱える問題の大きさを実感しました。
日本も近い将来(今すでに?)格差社会を迎える流れにあると思います。このまま進むのであれば、健康の格差が広がらないような提言ができるようにありたいと思いました。(TH)
第2回目のISEE現地レポートです。10月14日も朝から、マルチレベルや大気汚染の疫学など聞きごたえのある話が続いています。
大気汚染に関しては、これまでの知見のまとめや、現在進行形のコホートの紹介などもなされており、非常にわかりやすい話から、研究デザインのあまりのスケールの大きさに、思わず閉口してしまうものまで盛りだくさんでした。
特に、大気汚染の大家の一人でもあるPopeの話は、非常にわかりやすく、Harvard Six Cities StudyとAmerican Cancer Societyの研究の比較や、他の研究におけるEffect estimateの比較を行い、今後の研究で必要とされている分野の紹介もしていただきました。また、大気汚染以外では、Hertz-PicciottoのPsychiatric disordersの話が興味深いものでした。RothmanのCausal pieやDAGなども、話の中でさらっと取り上げられており、彼女らしい発表だったように思います。
午後は、アメリカのNational Children’s Studyの話がなされる予定です。いろいろと興味深い話が多いので、頑張って聞いてみたいと思います。
(ES)
2008/10/10
労働者の睡眠の質を高めるため新たに開発された、インターネット介入プログラムの効果評価研究が、最新号のJournal of Occupational Healthに掲載されました。
Evaluation of an Internet-Based Self-Help Program for Better Quality of Sleep among Japanese Workers: A Randomized Controlled Trial
Etsuji Suzuki, Masao Tsuchiya, Kumi Hirokawa, Toshiyo Taniguchi, Toshiharu Mitsuhashi, Norito Kawakami.
Journal of Occupational Health, 2008; 50:5: 387-399