研究業績

2010/3/31

運動の健康影響に関する論文掲載のお知らせ

静岡県の高齢者コホート研究において、運動の頻度が全死因死亡・心血管系死亡・癌死亡リスクにどのような影響を及ぼすかを検証した論文がAmericn Journal of Preventive Medicineに掲載されました。本論文では、男女とも、運動の種類を問わず高齢者の運動は全死因死亡・心血管系死亡のリスクを減少させることが示唆されました。癌死亡リスクに関しては明確な関連は認められませんでした。
Physical Activity and Mortality Risk in the Japanese Elderly: A Cohort Study. Am J Prev Med. 38: 410-418, 2010.
Ueshima K, Ishikawa-Takata K, Yorifuji T, Suzuki E, Kashima S, Takao S, Sugiyama M, Ohta T, Doi H.

→ 本論文へのリンク(PubMed)
→ 本論文へのリンク(AJPM)

2010/8/17

職場のソーシャル・キャピタルと労働者の健康に関する論文掲載のお知らせ

職場におけるソーシャル・キャピタルが労働者の健康にどのような影響を及ぼすかを検証した論文が、Social Science and Medicineにオンラインで掲載されました。本論文では、職場におけるソーシャル・キャピタルを、個人レベル及び会社レベルで定義し、両者と労働者の不健康の関係をマルチレベルロジスティック回帰分析を用いて評価しています。個人レベルのソーシャル・キャピタルの欠如(mistrust, lack of reciprocity)が労働者の健康に悪影響を及ぼすだけではなく、会社レベルのソーシャル・キャピタルの欠如(mistrust)も、労働者の不健康に対して文脈的影響(contextual effect)を与えることが示唆されました。

Suzuki E, Takao S, Subramanian SV, Komatsu H, Doi H, Kawachi I.
Does low workplace social capital have detrimental effect on workers’ health?
Soc Sci Med. 2010;70(9):1367–72

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2010/1/4

「臨床医のための疫学シリーズ」(第5回)掲載のお知らせ

日本救急医学会雑誌に、「臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究」と題して、全5回の連載を行っています。本シリーズは、地域中核病院の臨床医が中心となって臨床研究を行えることを目指し、特に疫学的視点から臨床研究のコア部分について紹介することを目的としています。最終回となる第5回では、基本属性の比較に用いる検定、多変量解析として多く用いられるロジスティック回帰分析について紹介し、最後に生存解析について紹介しています。

臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究 第5回
臨床研究における統計学の役割(疫学各論4)
Clinical research based on community hospitals Lesson 5:
The basic role of statistics in clinical studies.
小松裕和、鈴木越治、土居弘幸.
日本救急医学会雑誌 2009; 20:851-9

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2009/12/13

長期メチル水銀曝露と高血圧の関係に関する論文掲載のお知らせ

水俣において、長期メチル水銀曝露と高血圧の関係に関して検証した論文が、Environmental Research誌にEpub ahead of printで出版されました。最近、メチル水銀曝露と心血管系疾病(心筋梗塞や高血圧など)の関連について議論が盛んにされていますが、本研究はメチル水銀曝露を受けた水俣地域で同様の仮説を検証した論文です。その結果、メチル水銀曝露を受けた地域では、高血圧の有病割合が高く、高血圧の基礎疾患を持つ方が多くなっていました。

Yorifuji T, Tsuda T, Kashima S, Takao T, Harada M
Long-term exposure to methylmercury and its effects on hypertension in Minamata
(Environmental Research, 2010; 110: 40–46)

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2009/11/24

水俣病における臍帯メチル水銀濃度が語りかけるものに関する論文掲載のお知らせ

水俣病において、臍帯メチル水銀濃度が何を語りかけているのか、またそれが水俣病の歴史と合致するのかを検証した論文が、Science of the Total Environment誌に掲載されました。本研究は、メチル水銀の曝露を受けた不知火海周辺4地域で集められた臍帯メチル水銀濃度を時間的・地理的に評価した所、その分布が既知の水俣病の歴史と合致していることを示しました。また、水俣病を、地域で起こった曝露が子宮の環境を汚染していることを示した事例だと紹介しています。

What has methylmercury in umbilical cords told us? – Minamata disease –.
Yorifuji T, Kashima S, Tsuda T, Harada M.
(Science of the Total Environment. 2009; 408: 272-276)

本論文へのリンク(PubMed)

2009/11/9

「臨床医のための疫学シリーズ」(第4回)掲載のお知らせ

日本救急医学会雑誌に、「臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究」と題して、全5回の連載を行っています。本シリーズは、地域中核病院の臨床医が中心となって臨床研究を行えることを目指し、特に疫学的視点から臨床研究のコア部分について紹介することを目的としています。第4回では、バイアスに関して、選択バイアス、情報バイアス、交絡バイアスの観点から解説を行うとともに、研究結果の解釈の仕方に関して紹介しています。最終回もご期待ください。

臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究 第4回
バイアスの考え方、結果の解釈の仕方(疫学各論3)
Clinical research based on community hospitals Lesson 4:
How to interpret bias and results of clinical research.
小松裕和、鈴木越治、土居弘幸.
日本救急医学会雑誌 2009; 20:794-800

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<Erratum>
798ページ左欄にて、以下の文に関して修正があります。
修正前:バイアスが生じる要素がある場合には,そのバイアスが「真の値」から「推定値」を「どの方向」に「どの程度」ずらすようなバイアスか,つまり過大評価(away the null:リスク比の場合は「1」に近づく)するバイアスか,過小評価(toward the null:リスク比の場合は「1」から遠ざかる)するバイアスかを2×2表を用いて検討をする。

修正後:バイアスが生じる要素がある場合には,そのバイアスが「真の値」から「推定値」を「どの方向」に「どの程度」ずらすようなバイアスか,つまり過大評価(away the null:リスク比の場合は「1」から遠ざかる)するバイアスか,過小評価(toward the null:リスク比の場合は「1」に近づく)するバイアスかを2×2表を用いて検討をする。

2009/10/3

因果推論に関する総説論文掲載のお知らせ

医学における因果推論に関する総説論文が、日本衛生学雑誌に出版されました。本論文は、因果推論に関するこれまでの知見、研究業績を総括し、体系的に解説を行うことを目的としたものです。全体で二部構成になっており、第一部では反事実モデル、第二部ではグラフィカルモデルの観点から、因果推論の論題を扱っています。因果推論に関する論題は、疫学の研究分野においても非常に重要な論題として取り上げられており、Annual SER Meeting (SER: Society for Epidemiologic Research)においても、因果推論に関するシンポジウムが例年組まれています。本教室では、因果推論に関する最新の知見を学ぶことを目的とした勉強会(Causality Journal Club)を設けており、本論文では、この勉強会で取り上げた内容の一部が扱われています。

鈴木越治,小松裕和,頼藤貴志,山本英二,土居弘幸,津田敏秀.医学における因果推論 第一部 ~研究と実践での議論を明瞭にするための反事実モデル~ 日本衛生学雑誌 2009; 64(4): 786-795

鈴木越治,小松裕和,頼藤貴志,山本英二,土居弘幸,津田敏秀.医学における因果推論 第二部 ~交絡要因の選択とバイアスの整理および仮説の具体化に役立つDirected Acyclic Graph~ 日本衛生学雑誌 2009;64(4): 796-805

本論文へのリンク(J-STAGE)
 

2009/10/3

大気汚染長期曝露の健康影響に関する論文掲載のお知らせ

高齢者において、交通由来大気汚染による長期曝露が心肺血管系疾患や肺がん死亡リスクにどのような影響を及ぼすかを検証した論文が、Occupational and Environmental MedicineにOnline Firstで掲載されました。本研究は、個人レベルの交通由来の大気汚染濃度を推定し、心肺血管系疾患や肺がん死亡との関連を検証しました。結果として、大気汚染が日本でも心肺血管系死亡(特に虚血性心疾患)を増加させていることを示しました。また、非喫煙者の方で、有意ではありませんが、若干肺がんのリスクが上昇していました。

Long-term exposure to traffic-related air pollution and mortality in Shizuoka, Japan.
Yorifuji T, Kashima S, Tsuda T, Takao S, Suzuki E, Doi H, Sugiyama M, Ishikawa-Takata K, Ohta T.
(Occup Environ Med. 2009:in press.)

本論文へのリンク(PubMed)

2009/8/10

「臨床医のための疫学シリーズ」(第3回)掲載のお知らせ

日本救急医学会雑誌に、「臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究」と題して、全5回の連載を行っています。本シリーズは、地域中核病院の臨床医が中心となって臨床研究を行えることを目指し、特に疫学的視点から臨床研究のコア部分について紹介することを目的としています。第3回では、臨床研究の質を大きく左右する研究仮説の立て方に関して、近年、疫学分野で用いられるようになっているDirected Acyclic Graph(DAG)をもとに紹介しています。第4回以降もご期待ください。

臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究 第3回
研究仮説の立て方とDirected Acyclic Graph(疫学各論2) 
Clinical research based on community hospitals Lesson 3:
How to define research hypothesis and how to use Directed Acyclic Graphs
小松裕和、鈴木越治、土居弘幸.
日本救急医学会雑誌 2009;20:397-403

本論文へのリンク

2009/7/25

緑茶の健康影響に関する論文掲載のお知らせ

静岡県の高齢者コホート研究において、緑茶摂取が全死因死亡・心血管系死亡・癌死亡リスクにどのような影響を及ぼすかを検証した論文がAnnals of Epidemiologyに掲載されました。本論文では、男女とも、緑茶摂取は全死因死亡・心血管系死亡のリスクを減少させることが示唆されました。癌死亡リスクに関しては明確な関連は認められませんでしたが、癌の臓器別で解析をした結果、大腸癌死亡リスクを減少させることが示唆されました。

Green Tea Consumption and Mortality among Japanese Elderly People: The Prospective Shizuoka Elderly Cohort. Ann Epidemiol (2009) doi:10.1016/j.annepidem.2009.06.003
Suzuki E, Yorifuji T, Takao S, Komatsu H, Sugiyama M, Ohta T, Ishikawa-Takata K, Doi H.
本論文へのリンク (PubMed)

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