研究業績

2024/11/20

【論文出版】体外受精と出生児の健康・発達予後

岡山大学疫学・衛生学分野と産婦人科が共同で実施した研究が欧州小児科学会誌に掲載されました。本研究では、日本産婦人科学会の周産期データベースと厚生労働省の21世紀出生児縦断調査をリンクすることで、体外受精で生まれたお子さんの9歳までの健康と発達を追跡しました。その結果、体外受精で出生したお子さんと自然妊娠で生まれたお子さんを比較して、ほとんどの健康・発達指標において有意な差を認めませんでした。単一胚移植が推奨される日本の生殖医療において、重要な知見を示した研究と言えます。

Matsumoto, N., Mitsui, T., Kadowaki, T. et al. In vitro fertilization and long-term child health and development: nationwide birth cohort study in Japan. Eur J Pediatr 184, 24 (2025). https://doi.org/10.1007/s00431-024-05883-y

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2024/11/6

【論文出版】在胎不適当過少児(SGA)と川崎病(KD)のリスク

21世紀出生児縦断調査(2010年出生児)のデータを活用し、SGAがKDのリスクを増加させるか検証しました。結果、SGAはKDによる入院のリスクを増加させていませんでした。早期の保育の有無、早産を考慮しても結果は変わりませんでした。今後、更なる検証が必要です。

Satoe Takanaga, Naomi Matsumoto, Tomoka Kadowaki, Soshi Takao, Takashi Yorifuji.
Small-for-Gestational-Age Status and the Risk of Kawasaki Disease: A Nationwide Birth Cohort in Japan.
Acta Med Okayama. 2024 Oct;78(5):363-370. doi: 10.18926/AMO/67656.

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2024/10/23

【論文出版】救命救急科の平岡先生らとの共著論文

救命救急科の平岡先生らのと共著論文が出版されました。

A nationwide longitudinal survey of infantile injury and its recurrence in Japan.
Hiraoka T, Obara T, Matsumoto N, Tsukahara K, Hongo T, Nojima T, Hisamura M, Yumoto T, Nakao A, Yorifuji T, Naito H.
Sci Rep. 2024 Oct 21;14(1):24716. doi: 10.1038/s41598-024-76403-z.

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2024/10/11

【論文出版】就学前の屋外遊び習慣と学童期の肥満との関連

21世紀出生児縦断調査(2001年出生児)のデータを活用し、2.5歳時の屋外遊び習慣と7歳時の肥満との関連について検討しました。就学前の屋外遊び習慣は、学童期の肥満リスクの低下と関連しており、社会経済的要因等を考慮しても結果は変わりませんでした。

Tsuge T, Matsumoto N, Takao S, Yorifuji T.
Outdoor playing during preschool was associated with a reduced risk of school-age obesity in Japan.
Acta Paediatr. Published online October 9, 2024. doi:10.1111/apa.17441

 

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2024/10/9

【論文出版】局所平均処置効果(LATE)に関するレター

近年、疫学理論は大きく発展しています。

American Journal of Epidemiologyでは、2020年に「AJE Classroom」という論文カテゴリが新設され、疫学理論に関する様々なトピックについて論文が出版されてきました。

2024年7月号に出版されたAJE Classroom論文では、操作変数法でしばしば用いられる「局所平均処置効果(local average treatment effect: LATE)」が扱われました。

Naimi AI, Whitcomb BW.
Defining and identifying local average treatment effects.
Am J Epidemiol. 2024;193(7):935–937.
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この度、上記の論文を批判的に吟味したレターが、American Journal of Epidemiologyに出版されました。

Suzuki E, Yamamoto E.
Re: “Defining and identifying local average treatment effects”.
Am J Epidemiol. (In press). (doi: 10.1093/aje/kwae096)
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本レターでは、単調性(monotonicity)の仮定を吟味し、LATEを識別する方法について論じています。

また、平均処置効果(average treatment effect)とITT効果(intention-to-treat effect)を比較し、両者の差について論じています。

著者からはRejoinderも出版されています。

Naimi AI, Whitcomb BW.
The authors reply.
Am J Epidemiol. (In press). (doi: 10.1093/aje/kwae097)
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また、「AJE Classroom」の今後の方針について、Editorialも出版されています。

Schisterman EF, Whitcomb BW, Naimi AI.
Editorial: a new look at the AJE Classroom.
Am J Epidemiol. (In press). (doi: 10.1093/aje/kwae089)
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疫学理論のさらなる発展が期待されます。

2024/10/9

【論文出版】人口寄与分画(PAF)の計算におけるバイアスについて

因果推論は、医学分野における重要な課題です。

因果効果を評価する際に、人口寄与分画(population attributable fraction: PAF)という指標がしばしば用いられます。

2014年11月号のEpidemiologyでは、PAFを計算する際に生じるバイアスについて、以下の理論論文が出版されました。

Flegal KM.
Bias in calculation of attributable fractions using relative risks from nonsmokers only.
Epidemiology. 2014;25(6):913–916.
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同じく2014年11月号では、上記の論文へのコメンタリーも出版されています。

Darrow LA.
Commentary: Errors in estimating adjusted attributable fractions.
Epidemiology. 2014;25(6):917–918.
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この度、Flegal (2014) 論文の誤りを指摘したレターが、2024年11月号のEpidemiologyに出版されました。

Suzuki E, Yamamoto E.
Re: Bias in calculation of attributable fractions using relative risks from nonsmokers only.
Epidemiology. 2024;35(6):e21–e22. (doi: 10.1097/EDE.0000000000001786)
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本レターでは、Flegal (2014) 論文の内容を、PAFに関する最新の理論をもとに解説しています。

PAFの理論については、下記の論文で論じています。

Suzuki E, Yamamoto E.
Attributable fraction and related measures: Conceptual relations in the counterfactual framework.
J Causal Inference. 2023;11(1):20210068. (doi: 10.1515/jci-2021-0068)
本論文へのリンク

Suzuki E, Yamamoto E.
Errors in the calculation of the population attributable fraction.
Epidemiology. 2024;35(4):469–472. (doi: 10.1097/EDE.0000000000001731)
本論文へのリンク

なお、FlegalからのRejoinderも出版されています。

Flegal KM.
The author responds.
Epidemiology. 2024;35(6):e22. (doi: 10.1097/EDE.0000000000001787)
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これらの研究によって、因果推論の理解がさらに深まることを期待します。

2024/10/2

【論文出版】国立病院機構岡山医療センターの玉井先生らとの共著論文

国立病院機構岡山医療センター新生児科の玉井先生らとの共著論文が出版されました。

Tamai K, Matsumoto N, Yorifuji T, Takeuchi A, Nakamura M, Kageyama M.
Postnatal weight loss and neurodevelopmental outcomes at age 3 years in extremely preterm infants: a cohort study.
BMC Pediatr. 2024 Sep 30;24(1):618. doi: 10.1186/s12887-024-05090-6.

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2024/9/13

【論文出版】下肢手術周術期のたんぱく質/必須アミノ酸摂取についてのSystematic Review & Meta-Analysis

下肢手術周術期におけるたんぱく質や必須アミノ酸摂取の術後アウトカムに対する有効性についてSystematic Review & Meta-Analysisで検証しました。患者報告アウトカム (PRO) と大腿四頭筋筋力には効果をみとめましたが、歩行速度・大腿四頭筋量・運動耐容能については効果をみとめませんでした。

Hagiyama A, Yamamoto N, Watanabe J, Tsuge T, Nakashima Y, Nakao S, Sato H, Yorifuji T.
Efficacy of Protein and Essential Amino Acid Supplementation in Lower Limb Surgeries: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Cureus 16(9): e69212. doi: 10.7759/cureus.69212

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2024/8/7

【論文出版】新型コロナウイルスワクチン追加接種後の抗体動態について

備前市の住民を対象に、ブースターワクチン接種後のSARS-CoV-2抗体動態をモデル化しました。調査の結果、抗体レベルは時間の経過とともに低下する一方で、追加接種回数が増えるにつれて上昇することが明らかになりました。また、変異株対応ワクチンを接種した場合には、抗体レベルが顕著に上昇することが確認されました。さらに、過去に感染歴がある人は、感染歴のない人に比べて、ワクチン接種後により高い抗体価を維持する傾向が見られました。これらの結果を踏まえ、年齢、性別、感染歴に基づいた個別のブースター戦略の重要性が示唆されました。

Matsumoto N, Sasaki A, Kadowaki T, Mitsuhashi T, Takao S, Yorifuji T. Kinetics of SARS-CoV-2 antibody titers after booster vaccinations during an Omicron surge in Japan. Vaccine. 2024 Jul 31;42(21):126156. doi: 10.1016/j.vaccine.2024.126156. Online ahead of print.

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2024/8/7

【論文出版】救命救急科の本郷先生らとの共著論文論文

救命救急科の本郷先生らのと共著論文が出版されました。

Hongo T, Naito H, Nasu M, Yumoto T, Kosaki Y, Yorifuji T, Hifumi T, Inoue A, Sakamoto T, Kuroda Y, Nakao A; SAVE-J Ⅱ Study Group.Prognostic Performance of Gray-White Matter Ratio in Adult Out-of-Hospital Cardiac Arrest Patients after Receiving Extracorporeal Cardiopulmonary Resuscitation.Auris Nasus Larynx. 2024 Jul 27;51(5):834-839. doi:10.1016/j.anl.2024.07.005. Online ahead of print.Resuscitation. 2024 Aug 2:110351. doi:10.1016/j.resuscitation.2024.110351.Online ahead of print.

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